年をとっても体を動かしたいのであれば、居合を始めてみるといいのではないでしょうか。居合とは室町時代の末期から伝わる古武術のこと。稽古を重ね、日本刀を使った正確かつ美しい技や型を習得していきます。年齢や性別、体力の有無によって格差が出るスポーツとは違い、武術である居合は老若男女問わず長く続けられる「大人の趣味」といえるでしょう。
いつ、どこから敵に襲われても応戦できるよう、刀と体の技術を磨くのが居合の目的。スポーツのように派手に体を動かしたりする訳ではありませんが、武術ならではの体の動きが身につきます。今までとは違う経験をすることで、これまで気づいていなかった自分の潜在能力に気づくこともあるでしょう。そして居合の特徴といえば試し斬り。巻藁(まきわら)や畳、青竹などを日本刀でスパッと斬り落とす様子は、思わず息をのむほどの迫力。こういった環境に身を置くことで、自然と集中力も上がります。
また、心身を鍛錬することで余計な雑念なく自分と向き合うことができます。ふだんの生活で抱えているストレスも忘れてしまうほど集中できるので、忙しい毎日を過ごしている人こそ居合を始めるべきかもしれません。そして武術の基本は相手に敬意を払うこと。こういった文化は、昔から脈々と受け継がれてきた日本特有のものです。居合を通して、思いやりやまわりへの気遣いといった人として大事なことを改めて学ぶことができます。
居合にはさまざまな流派があります。見学や体験講習会などに足を運び、自分の目で居合の魅力に触れるところから始めてみるといいでしょう。趣味として長く続けるためには、道場の雰囲気や師範が自分に合っているのか、というのも大事なポイント。総合的に判断してみてください。実践的なものを習得したいなら、無外流の居合を始めることをおすすめします。真剣勝負を想定している無外流の動きは、装飾を省いたシンプルなもの。だからこそ型の正確さや美しさが重要になり、突き詰めていくことでやりがいも感じられます。長く続けられる趣味としてどんどん広がりを見せている居合。日本のこころをもう1度じっくり身につけたい方にもおすすめです。